原因のわからない身体の不調(心身症)
「頭痛が続いて薬が効かない」「お腹の調子がずっと悪い」「めまいがする」などで内科や耳鼻科を受診しても、「特に異常ありません」と言われることがあります。このように、検査では異常が見つからないにもかかわらず、身体の症状に悩まされている状態を「心身症」と呼びます。
過度なストレスや心理的な葛藤が、自律神経系やホルモン、免疫系などのバランスを崩し、身体の症状として現れると考えられています。単に「気のせい」で済ませるのではなく、ストレスの背景を探り、心と身体の両面からアプローチすることが大切です。
月経にともなう気分の不調(PMS/PMDD)
月経前になると、イライラしたり、涙もろくなったり、気分が落ち込んだりする…といった経験を持つ女性は少なくありません。こうした月経前に現れる心身の不調を「月経前症候群(PMS)」と呼びます。
中でも、精神的な症状(著しい気分の落ち込み、不安、怒りなど)が非常に強く、仕事や人間関係など、日常生活に深刻な支障をきたしている場合、「月経前不快気分障害(PMDD)」という治療対象の精神疾患と診断されることがあります。ホルモンバランスの変化だけでなく、ストレスなども影響すると考えられており、低用量ピルや抗うつ薬(SSRI)、カウンセリングなどで症状を和らげることが可能です。
怒りや衝動性のコントロールの問題
ささいなことでカッとなり、人や物に当たってしまう、怒鳴ってしまうなど、自分の怒りの感情をコントロールできずに悩んでいる方がいます。その背景には、強いストレスや、自分の気持ちをうまく表現できないことへの葛藤が隠れている場合があります。
また、衝動的な万引き(窃盗症)や、買い物、ギャンブルがやめられないといった「依存」の問題も、衝動をコントロールする脳の機能不全が関連していることがあります。一人で抱え込まず、専門家と一緒にその背景にある問題に取り組むことが解決の糸口になります。
性別に関する悩み(性別違和など)
生まれた時の性(法律上の性)と、ご自身が認識している性(性自認)が一致しないために、強い苦痛や違和感を感じる状態を「性別違和」と呼びます。
トランスジェンダーであることや性別違和を持つこと自体は、精神疾患ではありません。しかし、社会的な偏見や無理解、ホルモン治療や手術に関する悩み、家族や友人との関係など、様々なストレスから、うつ病や不安障害といった精神的な不調を合併することが少なくありません。当院では、ご本人の性自認を最大限に尊重し、安心して悩みを話せる安全な場所を提供します。